第3章 古アパート・古ビル
古アパート・古ビルの問題

○建てた当初は入居状況も良く、安定経営が期待できますが、経過年数がたつと募集しても、なかなか借り手がつきません。 ○築年数の経過による建物の老朽化と借り手のニーズの移り変わりにより、間取りや設備状況次第では稼働率が低下する場合があります。大規模に修繕したいが費用もかかるので悩んでいる。 特に集合住宅では、10年に1度大規模修繕が必要とされています。物件が新しいうちは修繕も外壁補修等の軽微なもので済みますが、20~30年経過すると給排水設備や躯体にまで範囲が広がり、その分メンテナンス料が多くかかります。

例えば、こんな思いをされているオーナー様も多いと思います

〖ケース1〗Aさんの所有する木造モルタル2階建てのアパートは、築30年を超えたあたりから傷みが激しく、漏水による壁・床の損傷をはじめ、設備等も随所に不具合が出始め、入居者から頻繁に苦情が寄せられるようになっていきました。 あちらを直せば、次はこちらと修繕にかかる費用も年々増加傾向にあり、それ ばかりか、苦情も度重なると、気分が滅入ることを感じてきました。

〖実は怖い老朽化したアパート〗

最近街を歩いていて、新しいマンションがどんどん乱立していることに気が付きます。 その反面、古いアパート、マンションもたくさん残っています。 ふと「もし大きな地震が起こって倒壊したらどうなるのだろう、住んでいる方々が死亡でもしたら、誰が補償するのかと疑問に思うことはありませんか?

まず問題になるのは、家主に対しての損害賠償責任です。

あなたの所有するアパートは宮城県沖地震の後改正された建築基準法での新耐震基 準(昭和56年施行)を満たしていますか。 昭和56年以前の建築物は震度7クラスの大地震での倒壊リスクは95%です。 損害賠償よりもむしろ、大家としての責任を全うしなかったばかりに他人様の命を奪うよう な事があってはならないことです。 老朽化した古く管理の悪いアパートを放置しておくと原因がどうであれ、第三者に万が一被害を与えた場合、民法717条<土地の工作物等の占有者及び所有者の責任によってその責任を問われます。ほって置いて自重で倒壊するのは論外だとしても、 例えば、これらの古いアパートが地震で倒壊したとしましょう。天災だからといって不可抗力というのは成り立ちません。 アパートに瑕疵(かし)があり、これが原因で倒壊したのであれば、大規模であっても一定の損害賠償責任を負います。

もしこの被害者が死亡でもしたら、現在での損害補償額は一人1億円が相場です。 家族でお住まいになっていたら…到底通常では払える様な金額ではなくなってくるのです。しかしこれが現実です。

地震で周辺の建物が倒壊しなかった中で一棟だけが倒壊したのであれば、明らかに責任が ありますが、大規模地震で多くの建物が同様に倒壊しても、判決となると、その建物の瑕疵が無ければ一定の避難の時間的・物理的チャンスもあったはずだという認識を取り上げた上で一定割合の損害代償が生じます。 ある判決(神戸地裁平成9年)では50%が家主の責任とされます。

『土地の工作物等の占有者及び所有者の責任』 第717条   1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。  2.前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。  3.前2項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

◆オーナーの方はこの認識を常に持っていただきたきたく思います。◆

現状、築40年以上の老朽アパート・マンション経営は誰にとっても難しいはずです。 収益物件とみた場合は収益性、換金性、防犯上のどれをとっても効率の悪い不動産です。 その収益性という観点では、殆どのケースで賃料相場との乖離がはなはだしく、賃料を上げるにしても思うようにはいかず、改修工事もできないことで悪循環になっていることと思われます。 換金性の面でも、中途半端な居住者付の老朽アパート・マンションでは容易に売買できない、という現状です。 また、防犯防災上も危険極まりない老朽アパートが目立ちます。 といって簡単には立退き問題にはできない、というのは、占有権、正当事由(立退き料)、代替部屋の確保等大変なエネルギーが必要だからです。

相続後の売買

よく受ける相談なのですが、仮にB様とさせていただきますが、その方、少し前に先代が亡くなられました。先代がアパートを所有していたのですが、その物件に対する相続税を支払いなさいという話になったようです。古いアパートだったので、家賃も安く、資産価値は殆どないのに、実は土地の価値が高く、土地の相続税がとんでもない金額だったそうです。 しかし、相続人であるB様は全く貯蓄はなく支払おうと思っても支払えない、結局 アパートを売ろうと思っても売却は非常に難しく、家賃が安いので延納財源とならないのが実状です。また管理処分が困難なので物納も非常に難しく「どうしたらいいのか」と。もっと早くに対処しておけば良かった・・・ いまのままだとどうしようも無いのが古アパートの怖いところなのです。

≪建て替え≫

☆新築物件は高い人気です。 建て替えは、新築物件となることで入居率と家賃のアップが見込めますが、当然建築コストなどの費用負担は大きくなります。さらに、それまでの入居者の立ち退き問題などのリスクも 考えられますので、慎重な対応が求められます。 建て替えや買い換えは、新しい賃貸事業をスタートさせることでもあります。新築物件になったとしても、万事うまくいくという保証はありません。賃貸経営については今後も厳しい環境が続くものと予想されますから、建て替えの場合も初めて土地活用に踏み込む際と同じく、実行する前にマーケティングを行い、慎重に採算性を検討する必要があります。それはオーナーさんの後継者となる人の同意が得られているか、また賃貸経営に向いた人かどうか、という点です。賃貸物件が老朽化してきたということは、おそらくオーナーさんもほとんどの方が高齢者のはずです。ご高齢のオーナーさんが賃貸住宅の建て替えのために返済期間20年あるいは30年のローンを組もうとすれば、銀行は必ずお子さんを連帯保証人に立てることを求めてきます。 つまり老朽化物件の建て替えでは次の世代の同意が不可欠となり、基本的にはお子さんが賃貸経営を引き継ぐという前提で行うことになるのです。ですから建て替えを計画する前に、まず家族でよく話し合い、お互いの考えをはっきりさせておく必要があります。

建て替えのメリット

建て替えとは現状の入居者に退去をお願いし、建物を全て空にした上で解体して、新たな賃貸住宅を建築することです。建て替えの良いところは、最新の設備を導入でき、建物自体の耐久性も過去のものよりもずっと高くなっていること、そして何より築年数が0になるということです。築年数は部屋探しをする人が、第一に気にするポイントです。リノベーションではどんなに建物が美しく変身したとしても、築年数の表示は変えることはできません。年数を経た賃貸住宅を新築に変えることで、賃貸市場での人気が上がります。空室はなくなり賃料も高めに設定することができて、家賃収入アップが見込めるわけです。 建て替えのもう一つの利点として、「マイナスのスパイラルを断ち切る」ことが挙げられます。老朽化したアパートでは入居者の人気がなくなって空室が増えたり、滞納が起きたりして家賃収入が低下し、キャッシュフローが悪化しているケースが多く見られます。収入が不足しているためメンテナンス費用も捻出できず、そのためますます建物の劣化が進み人気が低下していくという負のスパイラルです。

自分の代で賃貸経営を始めたオーナーさんが亡くなった後、賃貸物件を相続した奥さまやお子さんが、先代の管理の不備のために経営に苦労するケースは非常に多いのです。ずさんな管理を行った物件は、次の世代にとっては負の遺産そのもので、残された家族に大変な迷惑をかけることになります。 お手持ちの賃貸住宅がそうした状態に陥っていたり、陥りかけている場合、思い切ってローンを組んで建て替えることで、悪い循環を断ち切ることが可能です。 建て替えには節税の面での利点もあります。老朽化した賃貸アパートや賃貸マンションは、既に減価償却がほぼ完了しているため、所得からの控除額が少なくなります。これを建て替えることで新たな減価償却費が毎年発生し、納税額を抑えることができます。 また老朽化した賃貸住宅は、ローンの返済も終わっているケースが多く、相続の際に債務控除によって相続税額を圧縮するという効果も見込めません。こちらも建て直すことで相続税を節税することができます。 たとえば築30年でローン返済が終わっているアパートを建て替える場合を考えてみましょう。計算すると、現状では相続税評価額は土地4000万円、建物300万円で合計4300万円であったとします。何もしなければそれに対して相続税がかかります。しかしこの老朽化したアパートを、たとえば銀行で8000万円借りて建て直せば、その分の債務控除がつき、相続税評価額はゼロになります。

避けて通れない「立ち退き交渉」

避けて通れない「立ち退き交渉」 立ち退きのスタンスは、出て行ってもらうのではなく、住居の移転に協力していただく気持ちがポイントです。 無策のまま老朽化が進めば、家賃下落・空室の拡大・修繕費用の増加など、収益状況はどんどん悪化していきます。放置したことにより、入居者は安いままの家賃に甘えて、次の転居先が見つからないということで、立ち退きがよりいっそう困難となるケースも見受けられます。

建て替えでは既存の入居者に立ち退きをお願いすることになります。 建て替えの問題点は、投資コストが大きくなることです。現在の建物の入居者にまず引っ越しをお願いし、全員に退去してもらった上で工事を始めなくてはなりません。従って新築と異なり、建築費用だけでなく既存の入居者の立ち退き費用、解体費用などをコストとして考える必要があります。 入居者の立ち退きは簡単なことではありません。というのも現在の借地借家法は、「契約期間が満了した際、入居者が契約更新を希望したときは、貸し手が同意しなくても、これまでの契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」という、入居者にきわめて有利な規定となっているからです。 貸し手が契約更新を拒否するためには「正当事由」が必要となります。正当事由とは長期にわたる家賃滞納、無断改造など、入居者側が行った信頼関係を壊すような義務違反をいいます。入居者側にそういった落ち度がない限り、オーナーさんが「古くなってきたから建て替えたい」と考えたとしても、入居者が「住み続けたい」と主張すれば、出ていってはもらえないのです。 判例では通常の建物の老朽化は、立ち退きを求めるための正当な理由とは認められていません。「建物が老朽化したから、建て替えが必要だ」とオーナーさんが主張しても、入居者の側が「貸し手が本来必要な修繕を怠った」と主張すれば、「貸し手は安全な住居を提供する義務がある」とされ、逆に裁判所から修繕を命じられるかもしれないのです。実際に大改修を求められたケースもあります。 そこで立ち退き交渉では、入居者のみなさんに、オーナーさんの建て替えに協力して、契約更新を求めないようお願いすることになります。自主的に退去していただくために、立ち退き料の提示が必要になってくるわけです。 注:立ち退き料には相場はありません。 立ち退き料には相場はないのです。立ち退き交渉では入居者の個別の事情をよく聞いて、それぞれの要望に合わせて対策していく必要があります。 単に金額の問題だけではありません。

入居者は権利を失わないために、住んでいる間は家賃を払い続ける必要があります。といっても1戸分の家賃では、固定資産税など建物の維持管理費用にも足りません。オーナーさんにとっては深刻な事態で、交渉に失敗すれば、それまで収入を生んでいた大切な資 産が現金を食い潰す不良資産に変わってしまいかねません。 老朽賃貸住宅のオーナーさんの中には「いずれ取り壊す物件だから」と、相場では月5万円程度の部屋を3万円ほどで安く貸してしまっているケースがあります。「入居中に取り壊しになるのは申し訳ない」というオーナーさんの入居者への配慮なのですが、これは問題の多いやり方です。こうしたケースでは入居者から「今より安い家賃で今より良い物件を見つけてくれるのでしたら、立ち退きに協力しますよ」と言われることがあります。 しかし退去を前提に相場より家賃を安くしているのですから、同じ賃料で同等の条件の部屋など見つかるはずがありません。入居者側はその値段で安く借りていることを、もはや自分の権利だと見なしているのです。 借地借家法のあまりに入居者有利の規定が、老朽化賃貸住宅の円滑な建て替えを妨げているという観点から、2000年に「定期借家法」という新しい法律が施行されました。「定期借家契約」という、契約で定められた期限が来たら自動的に退去を求められる、新しい契約スタイルが認められたのです。 しかし現在の老朽化した賃貸住宅で入居者と定期借家契約を結んでいるケースはほとんどないのが実状です。入居者が退去するたび、新しく入ってきた入居者との間に定期借家契約を結んでいくという考え方もありますが、全ての入居者が定期借家契約に切り替わるまで待っていたら、建て替えがいつになるかわかりません。 建物の老朽化が進んでいる場合、家賃収入が低下していく一方で修繕費用が嵩んできます。ですから建て替えを前提とするなら、やはり立ち退き交渉を行って早期に立ち退きを完了し、建て替え工事にかかるべきでしょう。 立退料に相場はないと言いましたが、経験的な目安はあります。総賃料の6~10ヵ月の範囲で収まれば、まずは順当といっていいでしょう。ただし立ち退き交渉では早期解決を優先し、必要な費用は惜しまないことがポイントです。ひと月でも早く立ち退きに成功すれば、それだけ建築の開始時期も早まり、収益も早く上がるようになるのです。

更地にするために必要なその他のコストとして、建物の解体費用があります。これもリサイクル法などの影響で、かつてよりだいぶ費用がかかるようになっています。また、建物の地下から処分が必要な不用品が出てくるなど、想定外の費用がかかるケースもあります。建て替えて新たに賃貸事業を始めるのであれば、安易に考えずに必要経費として事業計画に見込まねばなりません。 建て替えには立ち退き問題をどうクリアしたらよいでしょうか?

※立ち退き交渉のポイント※
  • 1.良き相談社(不動産業者やコンサルタント)を抱えておく
  • 2.感情的にならない(常に冷静に対処する-忍耐なくして成功はなし)
  • 3.立ち退き交渉の目的を明確に(まとめるのか、紛争するのか)
  • 4.予測される立退料の予算は多めに見ておく(立退料に相場なし)
  • 5.権利調整上の問題は次世代には残さない
  • 6.裁判(紛争)を恐れるな
  • 7.交渉相手をよく知ること(敵を知り、己を知れば百戦危うからず)
  • 8.交渉記録は必ず残しておくこと
  • 9.時間を惜しまないこと(しかし、時も金なり)
  • 10.精神的に落ち込まないように心がけること(健康第一)
買い換え

買い換えも一つの選択肢です。 建物が老朽化してもオーナーさんに賃貸経営を続ける意思がある場合、建て替えるのでも、そのまま続けるのでもなく、「買い換え」することも選択肢の1つです。 老朽化した賃貸物件を手放し、売却額に新たな借り入れを加え、別の賃貸物件を購入すれば、立ち退き交渉などに手間をかけることなく、賃貸経営の新たなスタートを切ることができます。

第4章再建築不可
東京都内では「再建築不可」のほぼ9割が「接道」に関係してきます。
☆再建築不可の不動産の問題☆
  • 売却しようとすると、長い時間がかかってしまう。
  • 建物が無くなってしまったら、再建築が出来ない。
  • 銀行からの融資がつかないことが多い。
「再建築不可」物件の立替を希望する際は、建築基準法43条但し書きを適用させます。 建築基準法43条但し書きを取得しても「再建築不可」という概念は変わりません。 しかし、この43条但し書きを取得できるか出来ないかでは、雲泥の差がでてきます。大きな利点は、「再建築不可ではあるが一定の基準を満たした建替えの建物に対して建築を許可された建築物」に対しては銀行融資が可能になると言うことです。 もちろん、「再建築不可」物件のまま、第3者に売却することは可能です。しかし、銀行融資の降りにくい「再建築不可」物件の売却価格は相場の2割~3割程度と極端に低くなってしまいます。 これに対して、但し書き許可を取得した物件については、相場の7割~8割程度で取引されるのが一般的です。
優成不動産では
  • 1.建替えやご売却を希望されるお客様に対して、現場測量から43条但し書き成立に向けての近隣交渉
  • 2.43条但し書き取得後のご売却に至るまで最善の方法で対応させて頂きます。
  • 3.43条但し書きの運用基準に該当しない物件についてもご売却の方法等をアドバイスさせて頂くことで幅広く対応させて頂きます。