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底地・借地の基礎知識

底地や借地、共有持分に関する基礎知識を解説いたします

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共有持分

共有名義のトラブル

相続が発生した際に、「不動産を共有名義で相続した」というのは、よく聞く話です。相続を開始してから10ヶ月以内に、相続税を申告・納税しなければいけないのでよく話し合う前に、共有名義で相続してしまうことが多いのです。共有(名義)不動産は相続にて取得した親族間の土地・建物に多く、親族で持分登記をしている場合が多いものです。また、遺産分割が未了で被相続人(故人)名義のままで放置されている共有状態や、相続トラブルで遺産分割ができない共有状態の不動産などもあります。 実は、これが、後々のトラブルのもとになります。 例えば、兄弟3人が1棟アパートを相続したケースを考えます。それぞれの持分は、長男が60%、次男、三男がそれぞれ20%ずつ持っています。

兄弟で意見が割れた場合

長男は、アパートが老朽化しており、空室も目立つので、売却したいと考えています。 次男と三男は、リフォームをすれば、まだまだ十分に運用できると考えています。こうしたケースではどうなるでしょうか? まず、長男が希望するアパートの売却については、共有名義の不動産を売却するには、名義人全員の同意が必要です。 長男がいくら売却したいといっても、次男と三男が了解しなければアパートを売却することはできません。では、大規模なリフォームをすることはできるのでしょうか。実は、この大規模なリフォームをする際にも名義人全員の同意が必要です。 民法251条で、共有物に「変更を加える」場合には他の共有者の同意を得なければならない」と定められています。売却や大規模なリフォームは、この『変更行為』にあたるため名義人全員の同意が必要なのです。 つまり、ご紹介したケースでは、アパートを売りたくても売れない、リフォームしようにもできない、という、まさに最悪の状態に陥ってしまうのです。

また、このどっちつかずの状態で、入居の申込が入った場合は、どうなるのでしょうか。 このままアパート経営を継続していきたい、次男と三男としては、契約したいところです。 実は、長男ひとりが反対するだけで、この契約の締結を拒むことができます。 なぜなら、共有名義の不動産では、賃貸借契約を結ぶには名義人の過半数の同意が必要だからです。ここでいう、『過半数』とは「人数」ではなく「持分」で計算します。ですから、長男が持分の60%を持っているのでいくら二人が望んだとしても、契約はできません。

このように、共有名義で不動産を相続すると物件の処分や運用に大きな問題が残ります。これが、単独の名義での相続であれば、売りたいときに売れて、リフォームも自分だけで決めることができます。つまり、単独名義だからこそ、有効な資産活用が可能になるのです。

土地と建物が絡むと問題が複雑に

土地の場合はどうでしょうか。一例ですが、公道に面して間口が広く、奥行きが短い60坪の土地があったと仮定します。これを親族であるA、B、Cの3名が3分の1の割合で共有している場合で、3名が20坪の土地を個々に利用したい時は比較的スムースに解決できるものです。基本的に60坪の土地を道路に面して3分割すればいいことです。また、60坪を一括にて売却して、3分の1の割合で売却金を配分する場合も話もスムースです。

ところが、その土地にCが所有する建物があり居住していると面倒になります。 AとBは土地を売ってお金を欲しいと主張、Cは住んでいるので売れないと拒否すれば問題はとても複雑になります。A、Bの選択肢としては以下になります。

  • ・自己所有の土地持分をCに買ってもらう
  • ・トラブルをかかえた共有地として第三者に低額で売却する
  • ・共有物の分割訴訟による解決(裁判所の判決)

このように選択肢は少なくなってしまいます。

また、60坪の土地にAがアパートを建築したいと計画しても、BとCが反対をすれば建築はできないことになります。建築するには共有者全員の意思統一が必要であり、BとCに無断で建築をすれば二人の財産を侵害することになります。以上のように、共有の不動産は流動性・換金性、もしくは収益性に乏しく、資産としても問題をかかえたものでもあります。

弊社の過去の案件に次のようなこともありました。 相続により取得した土地建物の共有名義人の一人(次女様)が、その建物に居住している共有者(実兄の長男様)の住宅建替えに対して、イヤガラセを込めて一切の協力をしなかったことです(以後、敬称は省略)。長男は他の共有者(次男と長女)の合意は得ていたのですが、次女だけが建て替えを認めず、共有の持分権利を長男に売却することも拒否し続けていました。目的は「嫌がらせ」の一点だけだったのです。この女性との交渉には困難が多く1年以上を要しましたが、共有名義人の間で売買という方法で解決に至りました。

その方法とは、次女が長女に共有の持分権利を移転し、長女が長男に再移転するという手法です。次女は長男との同じ契約書(紙)には署名したくないとの一心であり、次女と長女間で契約と権利移転をおこない、長女に移った持分権利を長男に再移転したわけです。勿論、この方法は次女を含めて、4名の合意のうえでおこなったものです。次女にとりましては金銭ではなく、「意地」がそうさせていたわけです。

存続の前には必ず「遺言」を残すこと

将来、土地活用をスムースに進めるために重要なことは、遺産分割時に共有名義にはだけは絶対にしないことです。 必ず、土地は一筆ごとに一名義。 建物も1軒ごとに一名義にしておくことが重要になります。こうすれば、所有者本人のみの一存ですべての開発が可能になり、いつ売却をするのも名義人本人の自由になります。 ただし、被相続人がお亡くなりになってから、遺産分割を兄弟間で相談するというのは争いの元になってしまいます。この争いを避ける手っ取り早い方法が共有持分での遺産相続なのですが、共有名義は土地活用の際に多額の借り入れをすることが多く、そのため協議がまとまらずに活用の可能性を狭めてしまいます。このようなトラブルを避ける方法はただひとつ。 それは、相続が起こる前に、所有者本人が必ず「遺言」をしておくことです。こうすれば、将来的に土地活用の可能性をつぶしてしまう恐れはほぼ回避することが可能になります。

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