借地権者に相続人がいない場合の地主としての解決法

底地・借地

「借地人に相続人がいない場合」については、地主さんはどのように対応すべきでしょうか。地主さんは勝手に借地権付建物を取り壊し、借地権を消滅させることはできませんので、地主さんの解決法を考察していきたいと思います。

平成31年4月26日に平成30年住宅・土地統計調査の概数が公表されました。調査によると全国の空き家数はおよそ846万戸(前回調査では約820万戸)、全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%(前回調査では約13.52%)となりました。それぞれ平成25年の前回調査の数値を超え、過去最高を記録しました。
その空き家の中には、「借地権付建物」も当然のことながら含まれており、地主さんは、「地代滞納」や「建物が使われていないのに借地権が継続している」等の不利益を被っております。

借地権者が亡くなった場合には、「借地権付建物」は相続の対象となり、相続人がいれば、当然に借地権を承継することになりますが、「借地権付建物が空き家になっている」、「借地人に相続人がいない場合」については、地主さんはどのように対応すべきでしょうか。地主さんは勝手に借地権付建物を取り壊し、借地権を消滅させることはできませんので、地主さんの解決法を考察していきたいと思います。

借地人の相続人調査

一般的なケースでは、借地人が亡くなった場合、その相続人(息子、娘さん等)から、地主さんへ連絡が入ると思います。その際には、借地人が相続人に変更になることから、その相続人と土地賃貸借契約書を改めて締結することがよいと思いますが、問題にはならないでしょう。
それでは、相続があったのに何も連絡がない、地代も滞納になっている等のケースではどうすべきでしょうか。
先ずは、借地権者の親族等の連絡先が判明している場合には、連絡をして、借地権の相続人が誰になるのか、調査していくことになります。ここで、相続人が判明すれば、問題にはならないでしょう。
問題になるのは、連絡先等が不明の場合です。その場合には、弁護士や司法書士等の専門家に依頼して、借地人の「戸籍謄本」を取得して、相続人が誰なのか調査していくことになります。

財産管理人の選任を家庭裁判所へ申請する

戸籍謄本を取得して、調査しても「相続人がいない場合」、「相続人はいるけども、その方が行方不明(生死不明等)」により、手続きが変わります。

次項以降は、地主さんに特に関係のある「借地権者の相続人がいない場合」についての手続きになります。

「相続人がいない場合」:「相続財産管理人の選任申し立て」を家庭裁判所へ行います。

その申し立てを受けて、家庭裁判所は、財産管理人を選定しますが、多くの場合、弁護士が選定されます。

相続財産管理人に対しての打診

相続財産管理人は、相続財産を管理・換価し、相続債権者に弁済などの清算を行い、その残資産がある場合には、国庫に帰属させることを目的としています。
よって、相続財産管理人は、相続財産に借地権がある場合には、地主さんへの地代の支払いをするとともに、借地権の売却を検討することになります。
そこで、地主さんは「相続財産管理人」に対して、以下の手続きをしていくことが必要です。手続きにより、借地権の権利関係を解消し、当該土地の完全な所有権を取り戻すことが解決方法になります。

①借地人が相応の期間、地代を滞納していた場合
⇒「相続財産管理人」に対して、「建物収去・土地明け渡し請求」をしていく。

②相続を機に、地代が払われなくなった場合
⇒「相続財産管理人」に対して、「借地権買取り」の打診をしていく。

まとめ

以上のように、借地権者に相続人がいない場合について、考察していきました。地主さんは何も悪くないのですが、借地権を解消して、完全所有権として、ご自身の土地を取り戻すには、少し面倒な手続きが必要になっていきます。放置してしまうと次世代へ不良資産を承継することになってしまいますので、ご自身の土地を優良な資産に変えていくためにも、一歩前へ踏み出すことが必要です。

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